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『作中の魔術書を手製本にて再現してみる!』企画、第二弾。

この記事は手製本の手順や方法を詳しく解説した記事ではありません!
製本は他の方に依頼しております。



企画概要


この企画は現在『小説家になろう』に投稿をしているファンタジー小説『呪文を紡ぐビスケッタ』に登場する『魔術書』を再現した本をつくってみよう!という企画の第二弾です。
ちなみに私が担当したのは装丁と本文、段組などで今回も製本作業はIN'de'RosaYOUさんにお願いしております。

目的


本企画の完成品の種類を増やす。制作する本は、
『一冊だけの特注品』
『作中に登場する魔術書の再現』
(中身は小説の本文/第二章)
がコンセプト。予算は6000円くらいまで見積もり。
今回取り上げる本が前回の魔術書より安価であるという設定があるので、現実でもそれは上回らないように。

製作工程


前回とあまり変わらないので省略。

装丁


魔術書の描写やイメージをまとめると、
表紙
---人参色
---堅い素材を使った厚めの一冊
全体
---タリヤ(主人公)の親指と小指で横幅が収まるコンパクトなサイズ
---サイズに比べて分厚く・しかし軽い
---素朴な手触り
見返し
---温かさを感じる
---駆け出しの頃のタリヤが選ぶような(少し幼い)
本文
---新聞紙のような荒さ・色が灰に近い・ざらっとした・やわらかさのある
---タリヤが選ぶような(少し幼い)

といった感じ。
今回はどの紙を使うかのイメージとそれに近い紙を提示して話を詰めていきました。
送ったデータを候補に挙がった紙に印刷していただき風合いを確認しつつ、もっと合う紙があるのではと紙屋さんに行って選び直しもしました。
まさかオレンジ・橙系の紙がこんなにみつからないと思いませんでした。
また、本文の紙はもっと薄い紙にしたかったのですが手に入らなかったので普通~少し厚めになりました。(紙の種類は希望のもの)
装丁のうち表紙のデザインは、打ち合わせを進めるうちに変更。金インクで模様を入れる予定だったのですが、サンプルに送った金のパーツがしっくりきたのでそちらに。結果、とても気に入っています。

完成


表紙(おもて)


厚みを出すために板紙を使ったり、表紙の紙に他の紙を組み合わせ、重ねていただきました。イメージに合う人参色に近づけるため、紙の透け加減をみながら組み合わせる紙の色を選別。届いたとき、厚みも色も予想以上に希望通りだったので胸が高鳴りました。パーツも接着してます。しっかりと接着されており、ワンポイントが利いてます。

表紙(うら)


特に細工はなし。ぴしっと張ってて綺麗です。

背表紙

本を開くと折り曲がる溝の凹みが美しく出ています。

遊び紙

第二弾はなにより材料の色の組み合わせに悩まされました。表紙の人参色、見返しのクラフトの色を殺さずいかす色。スピン(紐)も同じ色になってます。
今回スピンがついているんですよ!これがあると一気に本らしくなりますね。

見返し

クラフトのフラワー。ここに可愛らしい温かみが加わることで、表紙の毛羽立った紙と合わさり素朴な感じがよく出ています。

本文

登場人物紹介


目次


本文は絶対タブロと決めていました。新聞紙が少し厚くなったような風合いと色。駆け出しのタリヤが購入した空の魔術書なので、軽くて手が届きそうな印象の紙を選択。

おまけ



本文376ページ、背表紙29ミリ、自立する厚さです。サイズは文庫。
一枚目だとよく映っているのですが、花布(はなぎれ)は赤のリボン。これも色に迷いましたが、YOUさんのおすすめしてくれた色が可愛く採用させていただきました。
それと、本を開くと背から花布(本体)が浮くんです。そのおかげでこのサイズでこの厚みでも本が開きやすくなる。組み込むのは難しいと思っていたのですが、見事叶えていただきました。

制作費内訳


この本をつくるのに一冊いくらかかったでしょうか。内訳を記載します。

本文コピー代 736円 >本文376P分・92枚
本文紙代 194円 >A4・46枚
表紙紙代 108円 >30×30・1枚
製本用板紙代 54円 >B5・1枚
見返し紙代 6円 >A4・1枚
遊び紙代 32円 >A4・1枚
金属パーツ代 90円 >1個
スピン代 27円 >1本
合計 1247円

制作の仮出力などに使用したコピー代や印刷費、やり取りで必要になった送料(今回は完成品の送料も)、依頼した製本の代金は含めていません。ほぼほぼ原価の記載。
依頼の中でスピンをつけていただいたりオプションをたくさんつけたのですが予算内で収まりました。
今回は紙代が安かったですね。

まとめ 『普段つくらないような本を』


『作中の魔術書を手製本にて再現してみる!』企画の第二弾は終了です。
今回はこの企画の完成品、本の種類(冊数)を増やすことが目的でした。増やす理由のひとつは並べて写真を撮りたい、展示したいというものです。
物語一章ごとに一巻制作するとしてあと四巻。六巻の魔術書が揃ったら素敵だと思うのです。
またその制作過程で、製本はあくまで依頼しているので私は実際製本作業をしていないのですが、製本について学ぶことが多いのです。どんな紙をつかってどのようにすれば、イメージ通りの本をつくれるか。自分なりに考えてお願いしていく、その過程と試行錯誤でどんな細工・工程が難しく、どう工夫すれば可能になるのか、今まで知らなかった方法が見えてきます。
最近はもっぱら製本をお願いしている私ですが、それがとても楽しい。そしていろんな本に挑戦したくなります。(装丁を考案するという意味で)

頒布する本とは違って普段つくらないような本を手製本でつくるからこそ、新たな可能性がみつかって、また普段つくる本にも還元できるなと思いました。
制作に手間も期間ももちろん必要となりますが、今つくっている本のかたちに飽きたり工夫したい方、一度『本をイメージ(出来上がり)から制作』してみるのはいかがでしょう? 楽しいですよ!


先日この本のモデルが登場する小説が完結しましたのでリンクを貼っておきます。第二章にて登場する『唱導の書』(『出来損ないの魔術書』を改良したもの・封印呪文)がこの本のモデルです。機会がありましたら読んでみてください。

   『呪文を紡ぐビスケッタ』 全六章八十四話完結・公開中

この企画が誰かの本づくりを後押しすることがあれば幸いです。
さて、三巻はどの書をモデルにしようかなー(笑)

技術的にも難度の高い依頼をしているのに、快く製本依頼を受けてくださるYOUさんに感謝。

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