Exhibition

2023/9/30(11:00-16:00)  10/1(11:00-15:00)
永都りす 個展『作品のための』
入場無料 水彩画/アルコールインクアート/カリグラフィー/手製本
会場:利尻町定住移住支援センターツギノバ(内オトノバ)

あらためまして、本づくり・紙雑貨制作の魔術書工房、永都(ながと)りすと申します。
この記事では永都りす 個展『作品のための』の感想を認めます。


【イベント概要】
紙雑貨作家・文筆家。北の大地を巡る工房として現在利尻島を拠点として活動する永都りすが利尻島の風景やおいしいものを描いた水彩画、色と戯れるアルコールインクアート・カリグラフィー、そしてこれまで執筆・制作してきた手製本を展示する。
紙と色に纏わる作品づくり・WSの経験から、胸ときめくものづくり・色遊びのひとときを気軽に日常の片隅に加えていただくきっかけとなるよう努めます。

※紙・紙加工(凸版印刷/箔押し/紙染め)・シーリングスタンプ・手製本(上製本/和綴じ)・カルトナージュ・カリグラフィー・調色・分離色・レジン細工



開催の理由

『作品のための』。
この個展は作品のためにと始まりました。
手製本、水彩画、アルコールインクアート、カリグラフィー。紙に関わる作品をつくり続け、気付くと保管に困るほど。作品たちは「完成」でうまれ、世に旅立ちます。
しかしほとんどが工房で眠った状態。それは、あまりに。

利尻にくるまでは手製本を100冊(種)完成させたら個展を開く予定でした。それには十数年の時間を要します。初めての個展は利尻で開きたい。であればと開催を決めたのがこの夏のことです。

利尻にてたくさんの美しいものを目にしました。移住してお世話になった方々、そして作家として活動を続けることでたくさんのご縁もいただきました。
個展を開き、これまでの作品と向き合うことで、あらためて謝意を伝えたい。そう思いました。

※写真は会場へ向かう途中に見えた礼文島にかかる虹


はじめての個展

『作品のための』は私にとって初めての個展でした。
夏に開催を決め、ツギノバさまにオトノバを借りられるよう予約をしました。
会場の規約もあり販売物はなしの展示のみとなりましたが、展示のみだからこそ気軽に手書きや色遊びに触れていただける機会にしようと展示内容を工夫しました。
個展開催を決めてから一カ月ほどしかありませんでしたので、ぎりぎりまで仕上げていた作品もありますし、展示の什器の準備と検証であっという間に開催当日となりました。

※最後まで仕上げていた『ひまわりの種を頬張るシマリス』(F8)含む会場の様子



開催によせて

私はおいしいもの、特にあまいもの、ケーキとパンが好きです。
道内を転々とする生活を送っていますが、転居して最初に調べるのがおいしいケーキ屋さんとパン屋さんの情報。

あまいものが途絶えると、執筆の速度がとにかく落ちます。
島にきて最初に出会ったおいしいパンとドリンクのお店が PORTO COFFEEさまでした。

プレッツェルをはじめとしてイラストや水彩画を描かせていただいております。
(展示したのは写真右:上段『いちごのゼリーラテ リッチ』)

鴛泊のフェリーターミナルを出たところにあるお洒落なお店です。利尻島に観光にいらっしゃる際は是非、Instagramをチェックして遊びにいってみてください。
期間限定のドリンクなどもあり、テイクアウトも可能です。



そして仕事をやり遂げた後のご褒美は、長生堂寺嶋菓子舗さまのケーキ。
今回展示した『ショコラオランジュ&ロイヤルフレーズ』(写真右:下段)は、とくにお気に入りのケーキでポストカードサイズにしたイラストを有難いことに店内に飾っていただいております。
ショコラオランジュは「これぞ私の求めていたショコラオランジュ!」という味わい、ロイヤルフレーズは一見ショートケーキと変わらないように見えるのですがふわっふわのエアリーな触感が美味で同じいちご系のケーキと合わせて買っての食べ比べも楽しいです。
こちらはプリンも有名なのでおすすめを絞るのがとても難しい……。
観光の際は(先日の【ブラタモリ】利尻島回でも紹介されていた)利尻島郷土資料館のすぐ近くにありますので、そちらの帰りにも寄れるのではと思います。(ちらっと映っていましたね!)

と、利尻島の観光スポットは作品『オタトマリ沼』『姫沼』でも描いております。
ご紹介したい景色・おいしいものはまだまだありますので、この冬少しずつ筆を進めたいと思います。

すっかりあまいもののお話になってしまいましたが、そんなおいしいお店とそこで働く方々のあたたかさにふれながら、制作を進めてまいりました。
移住して、作家としてでなく個人的にお世話になった方々もいらっしゃいます。
また遠方から工房の活動を応援してくださる方々、刺激をくださる作家様たちも。
そういった方に、謝意を伝えられたら。ものづくりや紙・色の面白さにふれていただけたら。そんな思いで開催前にはお知らせのはがきをお渡し・お送りいたしました。
ご来場いただいた皆様、応援してくださった皆様、あらためてこのたびはありがとうございました。そしていつもありがとうございます。



展示スペース

作家として活動を続けるうち、主に取材させていただいた作家様との合作や頂戴した作品の展示も行いました。(写真左)
これまでつくった手製本や原画と並べて。詳細はX(twitter)にて掲載しております。

他、発行している本(販売中)の見本誌による読書スペースと紙雑貨の展示スペース。(写真中央)
受付とご来場特典のイラストカードのお渡しスペース(写真右)。そして額装作品の展示スペースをご用意。
点数は合作なども含め32点でした。

絵に興味のない方でも(企画で製作いただいた)手製本や合作の切り絵、頂戴したちぎり絵作品など。直接触れることで紙や作品のよさを感じていただければとご用意しましたが、いずれも人気で話に花が咲きました。



学ぶことと伝える(教える)こと

個展から少し話は逸れますが、2023年は学ぶ・伝える機会に恵まれました。

展示したカリグラフィー(西洋の書道とも呼ばれる)は今年からオンライン(リモート)レッスンで習い始め制作したものです。
ご指導いただいているのはプロのカリグラファーで各社書籍やYouTubeでも活躍されている『ひがし はまね先生』です。
カリグラフィーの道具や学び方、書体の基礎は勿論作品づくりまでご教示いただいております。
手製本で本を仕立てる者として、写本やカリグラフィーはずっと憧れのものでした。
全くの初心者から作品づくりまでこぎ着けたのは、知りたがりの私の質問にも丁寧に回答くださる先生のおかげです。

また、伝える機会にも恵まれました。
昨年から四回ほど(淡濱社様と)共同開催したZINEの展示・販売イベント『What's a ZINE?』で行った工房の『色で遊ぶ(水彩分離色塗り絵)』のWS、のりによる紙染めでミニノートを制作した利尻富士町青少年健全育成町民会議さま主催『夏休みチャレンジ教室』の工作WS。
本をご紹介したご縁で出演させていただいたラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」(企画「あなたの文房具話、聞かせてください」にて「調色インク」についてお話)にWS『夏休みリモートインク調色会』。
全て年内のことで、講師として紙染めやインクの調色についてものつくる・日常でつくったものを使う楽しさをお伝えしてきました。

教える、と語るのは恐れ多いですが、学ぶ側に立つこと、伝える(教える)側に立つこと、合わせて経験することで得た学びと喜びは言い尽くせません。
それを糧に、また育て、今後もものづくりが日々の彩りに加えられるようお届けできたらと思っています。


開催を終えて

少し長くなってしまいました。
個展というかたちで展示したことやご来場者様のお話から学んだことも多く、新しいご縁にもつながった二日間。
まだまだお伝えしたいことは尽きませんが、ここまでにしようと思います。

制作ばかりで工房に引きこもりがちな私ですが、利尻にきてからは美しい景色と人のやさしさにふれ、「ここにいるからこそ届けたいもの」を制作・活動しています。
来年の春にはあらたな北の大地へ旅立つ予定ですが、だからこそこの地へなにかしらをお返しできたら、また利尻のよさを島外・道外の方にもお届けできたらと思います。
引き続き、見守っていただけたら幸いです。

ここまで読んでくださり、誠にありがとうございました。
皆さまの日々が、彩りに溢れたものになりますように。


2023/10/3 紙雑貨作家・文筆家 魔術書工房 永都りす





搬出後、握力のなくなった拳と安堵とともに。